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社会保険料の仕組み【役員賞与を活用した社会保険料の節約】

毎月のお給料から天引きされている社会保険料がどのように算出されているかご存じでしょうか?

「給料明細に記載されていることは知っているが計算方法は分からない」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。社会保険料の仕組みを理解すれば、毎月の社会保険料の金額を抑えることも可能です。ここではお給料から天引きされる社会保険料の仕組みについてご紹介します。





社会保険料は5種類ある


社会保険料とは「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「労災保険」のことです。このうち「労災保険」以外の4つが毎月のお給料から差引かれています。


①健康保険料

健康保険料とは、病気や事故などの医療費の財源になる公的な医療保険料です。


②介護保険料

介護保険料とは、介護施設や自宅で介護サービスを受ける場合の財源になる保険料です。40歳以上64歳以下の方が介護保険料の加入対象になります。


③厚生年金保険料

厚生年金保険料とは、老齢・障害・遺族厚生年金の財源になる保険料です。70歳未満の方が加入対象になります。


④雇用保険料

雇用保険料とは、失業手当や育児休業給付金、教育訓練給付金などの財源になる保険料です。


⑤労災保険料

労災保険料とは、従業員が業務中や通勤中に事故や災害に遭った場合の補償の財源になる保険料です。全額を会社(事業主)が負担します。労災保険料と雇用保険料を合わせて「労働保険」と言います。


今回は、社会保険料の中でも大部分を占める健康保険料と厚生年金保険料の仕組みについて見ていきます。



健康保険料と厚生年金保険料の算定方法


健康保険料と厚生年金保険料の算定方法は、保険料の基礎となる「標準報酬月額」に各保険料率を乗じた金額を会社と従業員が半分ずつ負担する仕組みになっています。「標準報酬月額」は1~50までの等級に分かれており、それぞれ1万円~6万円までの幅を持たせています。例えば、月給21万円の人と月給23万円の人は同じ「18等級」となるため同じ社会保険料を負担することになります。


健康保険料の保険料率は、会社の健康保険組合や地方自治体によってことなります。例えば、大阪府の協会けんぽの保険料は10.34%(令和6年3月分~)となっており、5.17%ずつ会社と従業員が負担します。


厚生年金保険料の料率は18.3%(令和6年3月分~)です。9.15%ずつ会社と従業員で負担することになります。


(出典:協会けんぽ)


毎月の給料から天引きされる社会保険料は、上記の表に当てはめると簡単に算出することができます。18等級(給与が21万円以上、23万円未満)の人であれば「健康保険料11,374円、厚生年金保険料20,130円、合計31,504円」が社会保険料として天引きされることになります。(介護保険料、雇用保険料は含みません。)



標準報酬月額はどうやって決まる?


標準報酬月額の決め方には、次の3つの方法があります。


①定時決定

毎月4月~6月までに支払われたお給料の平均額を標準報酬月額にして等級を決定する方法です。決定された等級は、その年の9月~翌年8月までのお給料に適用されます。


②資格取得時

就職や転職により社会保険の被保険者資格を取得した場合に1ヵ月あたりのお給料の見込額により標準報酬月額の算定を行います。


③随時改定(月額変更)

お給料が大幅に増減した場合(2等級以上)に標準報酬月額の変更を行います。



社会保険料を抑える方法


①4月~6月の3か月の残業を減らす

通常、社会保険料は「定時決定」により9月から1年間天引きされる金額が算定されます。定時決定は4月、5月、6月のお給料の金額によって決定されるため、この期間のお給料を減らす工夫をすれば社会保険料を抑えることができます。例えば、残業を減らしたり、休日出勤を減らしたりすることで標準報酬月額を下げることが可能です。


②入社時期の再検討

社会保険料がかかるのは、「被保険者資格を喪失した日の属している月の前月まで」です。

例えば以下のように入退社日を見直すことで、社会保険料を節約することが可能です。

(CASE1)

9/28入社(=9/28資格取得)の場合→9月の社会保険料からかかってくる

これを10/1入社にすると社会保険料がかかるのは10月からとなり、1か月分節約できる。

(CASE2)

9/30退社→9月の社会保険料がかかる

これを9/29退社にすると、9月の社会保険料はかからなくなるため、1か月分節約できる。


③賞与を活用して社会保険料を削減する

簡単に言えば、年1,200万の報酬をとりたい場合、月額報酬10万、賞与(年1回)1,080万とすれば、社会保険料を150万円ほど節約することができます。

賞与にも当然、健康保険と厚生年金がかかるのですが、健康保険は573万円(4月から翌年3月までの累計)、厚生年金は150万円(1回あたり)が上限とされています。例えば、1回で賞与を1,080万円払う場合、健康保険は573万円までしかかからず(573万円を超える507万円は健康保険料がかからない)、厚生年金は150万円までしかかかりません(150万円を超える930万円は厚生年金保険料がかからない)。


上記のエクセルは下記からダウンロード可能ですので、ご活用ください。なお、計算結果について弊所は何ら責任を負いませんので、ご自身の責任のもとであくまで参考としてご活用ください。




④報酬や賞与の一部を、退職金にまわす

退職金には社会保険料がかからない他、退職金を受け取る側でも税金が安くなります。


⑤役員を常勤から非常勤にする

常勤役員は社会保険強制加入ですが、非常勤役員は社会保険料がかかりません。

代表取締役を非常勤にすることはできませんが、平の取締役であれば常勤役員になれます。

非常勤である以上、報酬を高く設定することができませんし、常勤のときと同様、取締役会への出席は必要になります。


⑥請負契約や業務委託

最近多いのは、経理業務などを外注先へ委託し、その人員を削減することで社会保険料を含めた人件費を削減するものです。



まとめ

社会保険料は、3月、4月、5月の働き方次第で1年間の社会保険料が変わってきます。春先の働き方には十分に注意する必要があります。




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