個人事業の「経費」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。経費とは、所得税や住民税を計算するもとになる「課税所得」を算出する上で重要な要素です。ここでは、経費の考え方をご紹介します。
個人事業にとっての経費
個人事業主やフリーランスにとっての経費とは「事業に関連して支出した費用」のことです。税金の計算の基礎となる課税所得は、事業収入から必要経費を差し引いて求められるため、経費が増えると課税所得は少なくなり、所得税や住民税などの税金の負担も少なくなります。つまり、個人事業主やフリーランスにとって経費は税金の負担を少なくし、節税になるということになります。
曖昧な支出について
経費になる費用とは事業に関連して支出した費用です。プライベートなことに支出した費用を個人事業の経費にすることはできません。ただし、個人事業の場合は事業とプライベートの判断が難しい場合があります。
例えば、事業でもプライベートでも使用する車両はどうでしょうか。平日は事業のために使用しているかもしれませんが、休日は家族で買い物などに使用している場合「100%事業用の車両」とは言えませんし「100%プライベートの車両」とも言うことができません。このような場合は、経費部分とプライベート部分を按分する「家事按分」を行います。
家事按分ができる経費
事業とプライベートが混在する費用については家事按分することが可能です。家事按分ができる代表的な費用には次のようなものがあります。
・自動車関連費用
車両本体の減価償却費
ガソリン代
車検費用
車両保険料
自動車税
事業のために支出した高速代やパーキング費用などは全額経費にすることができます。それ以外の上記の費用は、事業とプライベートで使用する時間の割合や走行距離を目安に事業割合を決めるといいでしょう。
・住宅(事務所)関連費
建物の減価償却費
家賃
水道光熱費
電話代
自宅を事業の事務所として利用している場合は、事業部分の割合を経費にすることができます。建物の減価償却費や家賃については、事業で使用している床面積の割合を経費にすることが可能です。水道光熱費や電話代などは、使用時間や使用日数により事業割合を算出することが理想ですが、正確に把握することは困難なため、一般的に認められる範囲内で決めることになります。
プライベートな支出は経費にならない
事業に全く関係のない支出は100%経費にすることができません。経費と間違えやすい項目には次のようなものがあります。
<経費にならない費用>
・個人事業主が自分自身に支払った給与(経費になると勘違いされてる方が非常に多い!)
・事業主の健康診断費用
・生命保険料
・所得税や住民税などの税金(事業税以外)
・国民年金、健康保険料
まとめ
今回は個人事業の経費についてご紹介しました。事業に関する費用は経費にすることができ、経費を増やすことで税金の負担を減らすことが可能です。ただし、いくら経費になるからといって不要な支出を行っていれば手元の資金が減少してしまいます。事業に必要なものを必要な時に支出するように心がけてはいかがでしょうか。当事務所では個人事業主・フリーランスの確定申告についてのご相談を承っております。お気軽にご相談ください。
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