「節税対策として社用車を購入しよう」とお考えの経営者の方も少なくないと思います。では、なぜ社用車を導入すると法人税等が節税できるのでしょうか。ここでは社用車導入による法人税等の節税対策についてご紹介します。
社用車は減価償却が可能
社用車を購入すると耐用年数に応じて減価償却を行い経費化することが可能です。新車の普通乗用車の場合は6年間、軽自動車の場合は4年間を法定耐用年数として減価償却ができます。減価償却費として経費に計上することで利益が圧縮され、法人税等が減少するため、社用車の導入は節税対策として有効な方法になります。法人税等の実効税率を30%と仮定すると、車両の購入価格の30%の税金が節税できることになるため車両を30%割引で購入することと同じ効果が得られるのです(ただし減価償却費は月割計算するので注意)。
中古車であれば1年目で全額経費になる場合もある
新車で普通乗用車を購入した場合の耐用年数は6年ですが、中古で購入すると耐用年数が短くなります。中古の耐用年数は次の算式で求めることができます。
【法定耐用年数の一部を経過している場合】
(法定耐用年数-経過年数)+(新車登録されてからの経過年数×20%)
【法定耐用年数の全部を経過している場合】
法定耐用年数×20%
※1年未満は切り捨て、2年に満たない場合は2年になります。
耐用年数は最低2年となるため、5年以上経過した中古車であれば耐用年数は2年になります。
(法定耐用年数6年-経過年数5年)+(新車登録されてからの経過年数5年×20%)=2年
車両の減価償却は「定率法」によって行われますが、耐用年数2年の償却率は「1.0」になるため、期首に車両を購入している場合(12か月減価償却できる場合)、購入した年度で全て減価償却することが可能になります。減価償却は月割り計算を行うため、年度のちょうど真ん中で購入すれば6/12、決算月に購入すると1/12しか減価償却できず、節税対策としての効果は低くなります。
社用車をリースして支払った金額を経費化
社用車をカーリースで借りる場合、購入する場合とは異なる会計処理になります。社用車を購入した場合は減価償却することで経費化しますが、リースの場合はリース料を経費にします。そのため、多額の初期費用がかからず、毎月決まった金額が費用計上されることになるため、資金計画を立てやすいというメリットがあります。
(ただし、リース取引が所有権移転ファイナンスリースになる場合を除きます。)
年払いリース料で節税対策
リース料の年払いは短期前払費用の特例の対象になります。短期前払費用特例とは、家賃や保険料など毎月発生する費用を前払い(1年が限度)することで、支払い時に全額経費にすることができる制度です。例えば、3月決算の法人が3月に月5万円の社用車のリース料を1年間分(60万円)年払いした場合は、支払った全額を経費にすることが可能です。
リース料を年払いする場合の注意点は以下のとおりです。
・キャッシュアウトが必要
実際に1年分のリース料を前払いするため支払うための資金が必要になります。資金繰りに問題がないか検討しましょう。
・期中に支払いしなければならない
短期前払費用の特例を利用するためには、期中に支払いが完了していなければなりません。3月決算であれば、3月末までに実際に支払いが必要です。
・節税効果があるのは初年度のみ
短期前払費用の特例は「来期以降も継続すること」が要件です。一度年払いにした契約を月払いに変更することはできません。そのため、年払いにした初年度のみ節税効果があります。
まとめ
今回は社用車導入による法人税等の節税対策についてご紹介しました。社用車の購入、またはリース契約し年払いする方法により一定の節税対策を行うことができます。ただし、どちらの場合にしても社用車の購入費用やリースの年払い費用など、まとまった資金を準備する必要があるため資金繰りをよく検討する必要があります。
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