税金を滞納した者には、税務署からの厳しい督促があるだけでなく、最終的には税務署が財産を差し押さえ、その財産を換金して滞納している税金に充当します。しかし、税務署が税金の取り立てを行う権利は永久に認められておらず、時効が存在します。ここでは、税金の時効についてご紹介します。
ケースによって異なる税金の時効
税金の時効とは「税務署が税金を徴収する権利を行使できなくなる期間」のことを言い、正しくは「除斥期間」と言います。例えば所得税の除斥期間は原則として5年ですが、ケースによって異なります。
ケース①3年で時効を迎えるケース
確定申告書を申告期限内(3月15日)に提出した場合、その所得税の時効は3年になります。この場合、時効の起算日は確定申告期限の翌日になります。故意に脱税の意思があった場合はこのケースに該当せず、時効は7年になります。
ケース②5年で時効を迎えるケース
申告期限を過ぎてから確定申告書を提出した場合の所得税の時効は5年になります。時効の起算日は、申告期限の翌日になります。例えば、2021年5月31日に確定申告書を期限後申告した場合は2026年3月15日が時効になります。こちらも脱税の意思があった場合の時効は7年になります。
ケース③7年で時効を迎えるケース
ケース①とケース②に該当しますが、故意に脱税の意思があった場合の時効は7年になります。
時効の成立はほぼ不可能
時効を成立するには税金を納付せずに時効を待っていればいいというわけではありません。税金の時効には「時効の中断」という考え方があります。時効の中断とは、時効が成立する前に税務署から催促状が届いたり、財産の差押が行われたりすると時効が中断されることを言います。時効の中断が行われた場合、中断が行われた時から新たに時効期間を計算します。
つまり、税金の滞納者に税務署が督促を行わないことは考えられないため、税金の時効を成立させることはほぼ不可能と思っていいでしょう。
見つかった時に課される罰金
税務署には税金の徴収に特化した徴収部門があり、税金の徴収のプロが納税から逃げられないように厳しく調査しているため、時効が成立することはほぼありません。もし、納税を行わず、時効の成立を待っていた場合で税務署に見つかった場合には重い罰金が科されます。罰金の種類は納税行っていないことに対する利息である「延滞税」、申告自体を行っていない場合は「無申告加算税」、仮装隠蔽があった場合には「重加算税」が科されます。各罰金の詳細はこちらをご覧ください。
※リンク挿入([確定申告しなかった場合]をアップ後)
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