取引先などに対する接待や贈答品などは、ビジネスを行う上で必要になる経費です。取引先などとの「お付き合い」に支出する経費を「交際接待費」といい、交際接待費の判断次第で法人税の納税額が大きく異なるため、税務上、重要な経費です。ここでは「経費になる交際接待費」の基礎についてご紹介します。
そもそも交際接待費とは
「交際費等とは、交際費・接待費・機密費・その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」と法令で定められています。(措置法第61条の4)つまり、交際接待費とは、外部との「お付き合い」や「おもてなし」に使った費用のことを言います。
交際接待費の損金算入の特例
交際接待費は、原則的に損金(税務上の経費)になりません。ただし、要件を満たすことで一定額の交際接待費を損金にすることが可能です。要件は中小企業と大企業で異なり、中小企業は大企業より容易に交際接待費を損金にすることができます。
交際接待費の損金算入の特例の適用期間は2022年(令和4年)3月31日までになります。(延長される可能性あり)
資本金の額が1億円以下の中小法人は、年間の交際接待費の額が800万円未満の場合、②の「定額控除限度額」を選択した方が有利になります。年間の接待飲食代が1,600万円以上になる場合は、①の「接待飲食費の50%」を選択した方が有利になります。
交際接待費になる経費
どのような経費が交際接待費に該当するか判断に迷うケースが多々あります。どのような経費が交際接待費になるか押さえておきましょう。
【交際接待費に該当する経費】
①1人当たり5,000円を超える飲食費
1人当たり5,000円を超える飲食費については、交際接待費に該当します。(1人当たり5,000円以下の外部との飲食費については交際接待費に該当しないため。交際接待費に該当しない経費を参照)
②社内交際費
社内の役員や従業員に対する接待に支出する経費です。1人当たり5,000円以下の判定がないため、5,000円以下であっても交際接待費に該当することになります。
③飲食費以外の交際費
飲食費以外の贈答品などの交際費は交際接待費に該当します。
【交際接待費に該当しない経費】
①1人当たり5,000円以内の飲食費
1人当たり5,000円以下の外部との飲食費については、交際接待費に該当しません。ただし、領収書などに参加者の氏名や参加人数、飲食日や場所などを記載し、保管する必要があります。
②一定の会議費
会議で使用するお茶菓子やお弁当など、通常必要だと判断される飲食物にかかる費用については交際接待費に該当しません。
③一定の福利厚生費
従業員の慰安にために行われる忘年会や社員旅行、運動会などに必要な費用については交際接待費に該当しません。
④少額の広告宣伝費
社名の入った手帳や文房具、カレンダーなどの作成、配布費用については交際接待費に該当しません。
この費用は接待飲食費?
取引先など社外の人との接待飲食代は1人当たり5,000円以下であれば、接待交際費から除外することができます。また、中小法人以外の法人(資本金100億円未満)の場合は、接待飲食費の額の50%が損金として認められます。しかし、以下のような費用は接待飲食費に該当しませんので注意しましょう。
・ゴルフコンペ時の1人当たり5,000円以下の飲食代
主となる目的がゴルフになるため、ゴルフに伴う飲食代は接待飲食費に該当しません。金額に関わらず交際接待費になります。
・贈答になる飲食費
当初から贈答を目的とした飲食物の詰め合わせなどは、接待飲食費に該当しません。お中元やお歳暮に飲食物を贈った場合は、交際接待費になります。
・接待会場への交通費
接待飲食費へ該当する費用は、飲食代とそれに付随する費用でサービス料など飲食店に直接支払う費用になります。接待会場へのタクシー代などの交通費は、接待飲食費に該当しないため、交際接待費になります。
まとめ
法人税を算出するうえで交際接待費を適正に計上することは重要です。また、税務署の税務調査でも問題になりやすい項目でもあります。5,000円以下の接待飲食費の書類の保管要件などを適正に行い、「交際接待費に該当する経費」と「交際接待費に該当しない経費」を判断することが必要です。交際接待費に該当するかどうかの判断に困った時は、自分で判断せずに税理士に相談することをおすすめします。
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